Story
ストーリー
21世紀のキに、子どもと書いて紀子。いま、この時代に、確かに私という人間が存在した、という意味を込め、パパが付けてくれた名前です。
小学生時代のあだ名は「泣き虫のりこ」。引っ込み思案な性格で、クラス対抗のクイズ大会では、パパとママ、弟の正男と家族総出で協力してくれたのに、勇気が出せず一問も答えられませんでした。落ち込む私をいつも励ましてくれるのがママでした。優しくて、明るくて、そんなママのことが大好きでした。
このままずっと隣にいて安心させてくれる、と当たり前のように思っていました。10歳の誕生日までは・・・。
ママは病気に勝てず天国に行ってしまったのです。
ママと過ごす最後の年になってしまった10歳の誕生日。ある約束をしました。それは20歳を迎えるまで私たち姉弟に毎年手紙を贈ること―。
そして翌年、母がいない11歳の誕生日に、本当に手紙が届きました。
“11歳ののんちゃんへ これからのんちゃんが20歳になるまで、毎年手紙を贈るので楽しみにして下さい”
12歳の手紙には美味しいお菓子のレシピが書いてあり、クラスの人気者になれました。
13歳は学校をさぼって映画鑑賞のススメ、14歳はなんとキスの手ほどき!
17歳の時には、初めてママの故郷・小豆島に行き、中学生時代のママを知ることに。行動力があって、私とは大違い。本当に同じ遺伝子が入っているのか心配になるくらい・・・。
19歳の手紙には驚きました。
“・・・実は昨日ママとパパは喧嘩をしました。原因はママが手紙を破り捨てたからです”
19歳の私がどんなことに悩み、どんなことで苦しんでいるのか? 何を書いてあげたらいいのかがわからない、といつも元気なママが苦しんでいたのです。一言だけでもいいから書いて欲しいというパパの気持ちを汲み、素直な気持ちを綴った手紙でした。
そんなママの思いを知り、涙がとめどなく溢れるのでした。
こうして、私に残された手紙はあと1通になりました。
20歳を迎える最後の手紙。
そこに綴られていたのは、初めて知るママの真実。そして、世界一しあわせなサプライズが待ち受けていたのです!
全ての世代の女性たちにエールを送る、心にやさしい映画がこの秋、誕生します。